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学会・団体別の「血圧正常値」の定義&年代別の正常値

学会・団体別の「血圧正常値」の定義&年代別の正常値 健康

健康診断で血圧が高めであることを指摘された人は、「血圧を下げないといけない」ことは分っていても、どのくらいまで下げるべきなのか分らない人が多いと思います。

血圧を下げるためには、正常値を知っておかないといけません。

血圧の正常値の定義は各学会・団体で少し異なりますが、正常値は140/90mmHg未満、理想の血圧は120/80mmHg未満と考えて良いでしょう。

日本高血圧学会 正常値=140/90mmHg未満
(至適血圧=120/80mmHg未満)
WHO 高血圧との境界=140/90mmHg
(正常値=120/80mmHg)
厚生労働省 正常値=140/90mmHg未満
◆メタボ健診での正常値=130/85mmHg未満
日本人間ドック学会 正常値:
収縮期血圧:88~147mmHg
拡張期血圧:51~94mmHg

また、各年代によっても血圧の正常値は異なります。

幼児 120/70mmHg未満
小学校低学年(1~3年生) 130/80mmHg未満
小学校高学年(4~6年生) 135/80mmHg未満
中学生男子 140/80mmHg未満
中学生女子 135/80mmHg未満
高校生 140/85mmhg未満
20代・30代・40代・50代・60代・70代前半 140/90mmHg未満
70代後半以上 140/90mmHg未満(降圧目標150/90mmHg未満)
糖尿病と慢性腎臓病(タンパク尿+) 130/85mmHg未満

血圧が高いことを指摘された人は、この数値を目標にして、血圧を下げるようにしてください。

血圧の正常値の定義

各団体、学会の血圧の正常値の定義

日本高血圧学会

血圧の正常値は、日本高血圧学会は140/90mmHg未満としていて、理想の血圧(至適血圧)は120/80mmHg未満としています。

WHO

WHOが定める血圧の正常値は120/80mmHgであり、高血圧は140/90mmHg以上としています。

厚生労働省

厚生労働省は基本的に日本高血圧学会に準じていますので、140/90mmHg未満を血圧の正常値としていますが、メタボ健診では130/85mmHg未満を正常値としています。

日本人間ドック学会

日本人間ドック学会では、血圧の正常値を収縮期血圧が88~147mmHg、拡張期血圧が51~94mmHgとしていますが、人間ドックでの判定では129/84mmHg以下を異常なしに分類しています。

各学会・団体が定める血圧の正常値は少しずつ違いますが、総合して考えると

血圧正常値とは、140/90mmHgを境として

・これ以上が高血圧

・これ未満が正常値

・120/80mmHg未満が理想の血圧

と言えるのではないでしょうか。

日本高血圧学会の血圧の正常値

日本高血圧学会の血圧の正常値

日本高血圧学会(The Japanese Society of Hypertension)が定める血圧の正常値は、140/90mmHg未満です。

140/90mmHg以上は高血圧に分類されます。

日本高血圧学会の血圧の正常値は140/90mmHg未満ですが、正常値はその中でも細かく分類され、高血圧も重症度によって分類されています

  分類 収縮期血圧   拡張期血圧
正常域血圧 至適血圧 120未満 かつ 80未満
正常血圧 120~129 かつ・または 80~84未満
正常高値血圧 130~139 かつ・または 85~90未満
高血圧 Ⅰ度高血圧 140~159 かつ・または 90~99未満
Ⅱ度高血圧 160~179 かつ・または 100~109未満
Ⅲ度高血圧 180以上 かつ・または 110以上
(孤立性)収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満

出典:日本高血圧学会 「高血圧治療ガイドライン2014」(PDF)

つまり、理想の血圧は120/80mmHg未満ということです。

例えば、136/86mmHgの血圧の場合、正常値の中に入るものの、もう少し下げて120/80mmHgを目指したほうが良いということになります。

WHOの血圧の正常値

WHOの高血圧の正常値の定義
WHO(World Health Organization=世界保健機関)が定める血圧の正常値は、120/80mmHgです。

ただ、高血圧の定義は、

  • 収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上

または

  • 拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上

とされています。

参考URL:http://www.who.int/features/qa/82/en/

 

つまり、血圧の正常値は120/80mmHgですが、140/90mmHg未満であれば高血圧ではないということになります。

 

また、WHOでは、血圧の正常値である120/80mmHgよりも、さらにもっと低い血圧105/60mmHgくらいのほうが、心臓や血管には良い効果が期待できるとしています。
参考URL:http://www.who.int/kobe_centre/mediacentre/high_blood_pressure_faq/ja/

 

140/90mmHg未満 高血圧ではない
120/80mmHg 正常値
105/60mmHg前後 正常値よりもさらなる健康効果が期待できる

WHOでは血圧の正常値に関して、このように定義しているということですね。

厚生労働省の血圧の正常値

厚生労働省の血圧の正常値

厚生労働省では、日本高血圧学会の定義に準じて、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧と定義していますので、140/90mmHg未満が血圧の正常値であると考えて良いでしょう。
(参考URL:厚生労働省 高血圧 | e-ヘルスネット 情報提供

また、厚生労働省が定めるメタボリックシンドロームの健診での血圧の基準値は、次ようになっています。

情報提供 収縮期血圧130mmHg未満、かつ、拡張期血圧85mmHg未満
保健指導 収縮期血圧130mmHg以上140mmHg未満、または拡張期血圧85mmHg以上90mmHg未満
  受診勧奨 収縮期血圧140mmHg以上、または、拡張期血圧90mmHg以上

出典:厚生労働省 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 第2編 健診(PDF)

上記のように、メタボ健診では、

・収縮期血圧130mmHg未満、かつ拡張期血圧85mmHg未満が「情報提供」=正常値(異常なし)

・収縮期血圧130mmHg以上140mmHg未満、または、拡張期血圧85mmHg以上90mmHg未満は「保健指導」=要注意

・収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上が「受診勧奨」=高血圧

ということになります。

日本人間ドック学会の血圧の正常値

日本人間ドック学会の血圧の正常値
日本人間ドック学会

日本人間ドック学会の血圧の正常値(基準範囲)は

  • 収縮期血圧 88~147mmHg
  • 拡張期血圧 51~94mmHg

としています。
(「新たな健診の基本検査の基準範囲 日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー」PDF)

 

つまり、日本人間ドック学会が定める正常値の”上限”は、147/94mmHgということになります。

この日本人間ドック学会の正常値は、約150万人の人間ドック受診者の健診データを基にして導き出したもので、2014年に発表されました。

 

日本人間ドック学会の血圧正常値の上限である147/94mmHgは、日本高血圧学会、WHO、厚生労働省が定める正常値の上限よりも高いです。

そのため、2014年に日本人間ドック学会がこの血圧の正常値(基準範囲)を発表した際には、日本高血圧学会を中心に各方面から異論・抗議が出ました。

 

しかし、現在でも日本人間ドック学会が定める血圧の正常値は、収縮期血圧が88~147mmHg、拡張期血圧が51~94mmHgのままになっています。

ただ、日本人間ドック学会は147/94mmHg以下なら良いとしているわけでもありません。

 

日本人間ドック学会は人間ドックの判定をA(異常なし)、B(軽度異常)、C(要経過観察・生活改善)、D(要医療)の4つで分類しています。

A.異常なし 拡張期 129mmHg以下
収縮期 84mmHg以下
B.軽度異常 拡張期 130~139mmHg
収縮期 85~89mmHg
C.要経過観察・生活改善 拡張期  140~159mmHg
収縮期  90~99mmHg
D.要医療 拡張期  160mmHg以上
収縮期 100mmHg以上

出典:日本人間ドック学会 判定区分(2017年4月1日改定)(PDF)

日本人間ドック学会は150万人の追跡調査結果で、血圧の正常値は147/94mmHg以下としているものの、人間ドックの判定では、血圧の正常値(異常なし)は129/84mmHg以下としているのです。

各年代別の血圧の正常値

各年代別の血圧の正常値

血圧の正常値は140/90mmHg未満が基本ですが、年代や持病の有無によって多少異なります。

各年代の血圧の正常値は、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014(PDF)」によると、次の通りです。

幼児 120/70mmHg未満
小学校低学年(1~3年生) 130/80mmHg未満
小学校高学年(4~6年生) 135/80mmHg未満
中学生男子 140/80mmHg未満
中学生女子 135/80mmHg未満
高校生 140/85mmhg未満
20代・30代・40代・50代・60代・70代前半 140/90mmHg未満
70代後半以上 140/90mmHg未満(降圧目標150/90mmHg未満)
糖尿病と慢性腎臓病(タンパク尿+) 130/85mmHg未満

この各年代・持病による血圧の正常値よりも高い人は、高血圧ということになります。

高血圧は動脈硬化を進行させて、脳卒中や心疾患のリスクを上げますので、血圧を正常値に戻さないといけません。

10歳未満の血圧の正常値

10歳未満の血圧の正常値は、日本高血圧学会では次のように定義されています。

年代 収縮期血圧 拡張期血圧
幼児
(1~6歳)
120mmHg未満 70mmHg未満
小学校低学年
(7~9歳:1~3年生)
130mmHg未満 80mmHg未満

10歳未満でこの血圧の正常値よりも高い値を示す場合は、明確な原因がなく、生活習慣やストレスなどが関係している「本態性高血圧」が原因のこともあります。

しかし、年齢が低く、さらに血圧がとくに高い場合は、病気が原因の「二次性高血圧」を疑わなくてはいけません。

子どもの二次性高血圧は、慢性腎不全などの腎臓疾患が原因であることが多いです。

10代の血圧の正常値

10代は成人に比べて血圧が低めなので、血圧の正常値も成人とは異なり、低めに設定されています。

また、中学生の場合は、男子の血圧の正常値と女子の血圧の正常値は異なります。

年代 収縮期血圧 拡張期血圧
小学校高学年
(10~12歳:4~6年生)
135mmHg未満 80mmHg未満
中学生男子 140mmHg未満 85mmHg未満
中学生女子 135mmHg未満 80mmHg未満
高校生 140mmHg未満 85mmHg未満

小学校高学年から中学生の子どものうち、肥満の場合はその3~5%が高血圧です。

小児(中学生以下)と高校生の本態性高血圧は、そのまま放っておくと、成人になってからも高血圧が続くことが多いです。

高血圧が続けば、動脈硬化が進み、脳卒中や心疾患などのリスクが上がりますので、早めに生活習慣を見直して、血圧を正常値に戻すようにしなければいけません。

20代・30代・40代・50代・60代・70代前半の血圧の正常値

20代・30代・40代・50代・60代・70代前半の血圧の正常値

20代・30代・40代・50代・60代・70代前半の血圧の正常値は、140/90mmHg未満です。

140/90mmHg以上に血圧が上がると高血圧と判定されます。そして、高血圧の治療が必要であると判断されます。

治療による降圧目標は140/90mmHg未満です。

この降圧目標の140/90mmHg未満は、病院やクリニックで測定する診察室血圧であり、家庭で測定する家庭血圧は135/85mmHg未満を目標にする必要があります。

治療の第一選択は生活習慣の改善ですが、それだけで140/90mmHg未満に下がらない場合は、降圧薬を服用しなければいけません。

70代後半以上の正常値

70代後半以上、つまり後期高齢者の血圧の正常値は140/90mmHg未満です。

ただ、70代後半以上の高齢者で、収縮期血圧が140~149mmHgの場合は、高齢者の基礎疾患や体力などを考慮して、個別に治療が必要かどうかを判断しなければいけません。

そのため、70代後半以上の高齢者の場合、140/90mmHg以上だから高血圧とは決めつけられない部分はあります。

また、70代後半以上の高齢者の降圧目標は、20代~70代前半の人の降圧目標とは違います。

70代後半以上の人の降圧目標は150/90mmHg未満です。

高齢者は各臓器の機能が低下しているため、少しのきっかけで血圧が大きく変化しやすいですし、降圧薬の効果が大きく出やすいのです。

そのため、高齢者は降圧剤を服用したことで、血圧が下がりすぎて、めまいや立ちくらみを起こすことがあります。

高齢者は骨粗しょう症を持っている人が多く、めまいや立ちくらみが原因で転倒すると、骨折のリスクも大きいのです。

つまり、70代後半以上の高齢者は、血圧が高いことよりも血圧を下げたことでのリスクが大きくなる場合もあります。

もし、150/90mmHg未満に血圧を下げることができ、本人に立ちくらみなどの症状が出ておらず、血圧を下げたことでの副作用が出ていないようであれば、140/90mmHgを目標にして血圧を下げていきます。

特殊なケースでの血圧の正常値

持病を持っている場合は、一般的な血圧の正常値とは異なることがあります。

血圧に注意しなければいけないのは、

  • 糖尿病患者と
  • タンパク尿が出ている慢性腎臓病(CKD)患者です。

糖尿病患者と慢性腎臓病(タンパク尿+)患者の血圧の正常値は、次の通りです。

疾患 診察室血圧 家庭血圧
糖尿病 130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
慢性腎臓病(タンパク尿+) 130/80mmHg未満 125/75mmHg未満

糖尿病と高血圧
糖尿病は、血液中の糖分が血管壁を傷つけますので、動脈硬化を進行させます。

高血圧も同様に動脈硬化の危険因子になります。

糖尿病と高血圧を併発すると、動脈硬化が一気に進行し、脳卒中や心疾患のリスクがとても高くなるため、糖尿病患者は一般的な正常値よりも低めに保つ必要があるのです。

慢性腎臓病と高血圧
慢性腎臓病でタンパク尿が出ている人も、血圧を一般の正常値よりも低めに保つ必要があります。

高血圧と腎機能は密接な関係があり、高血圧は腎臓に負担をかけ、腎機能を低下させます。

そして、腎機能が低下すると、水分の排泄が滞り血液量が増えるため、さらに高血圧になるという悪循環に陥るのです。

そのため、慢性腎臓病の患者は血圧を保ち、腎臓を保護しなければいけません。

特に、タンパク尿が出ている場合、腎機能が低下している証拠ですから、血圧は診察室血圧で130/80mmHg未満に保たなくてはいけません。

まとめ

血圧の正常値は、学会や団体によって少しずつ異なります。

ただ、各学会や団体の正常値を総合的に考えると、正常値は140/90mmHg未満、理想の血圧は120/80mmHg未満と考えて良いでしょう。

高血圧が続くと、動脈硬化が進み、脳卒中や心疾患、腎疾患などのリスクが上がりますので、高血圧の人はできるだけ早く血圧を正常値に戻しましょう。

血圧を正常値に戻すためには、まずは生活習慣の見直しや、サプリメントの利用をおすすめします。

初期段階で対処すれば、降圧剤を服薬しなくても、血圧を正常値に戻せることが多いのです。

 

writer: M. HIRANO

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